脊椎(せきつい)圧迫骨折は老年期の患者様に多発する骨折の1つです。胸椎下部~腰椎に多く起こります。胸椎(きょうつい)は12個の椎骨・腰椎(ようつい)は5個の椎骨より構成されています。上位にある頚椎(けいつい)の7個を合わせて積み木のように重なって脊椎となっています。
圧迫骨折は老年期の女性に圧倒的に多く、閉経後の女性ホルモン減少による骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の進行と関係が深いです。骨折の直接の原因は尻もちと言われる転倒スタイルが脊椎に衝撃を与えて起こることが多いようです。しかし、何もしていないのに痛くなったと言う患者様も多く、発症の原因は様々です。
また、若い男性に発症することもあり、この場合はスポーツによる激しい転倒、高所よりの落下、重量物を持ったままの尻もち等発症原因ははっきりしています。
発症しますと、大抵の患者様は激しい痛みで動けなくなり救急車の手配、あるいは家族等に支えられて車に乗せられて運ばれるスタイルが多いようです。受傷の確認はレントゲン撮影にて行われます。骨折が確認された場合は、入院or自宅療養の選択肢となります。最近は救急指定病院の空きベット不足もあり、自宅療養を勧められることも多いようです。しかし、動けないほど痛みが伴う場合や、若い人の激しい受傷の場合は入院となるようです。最終的には病院の医師の判断で決定されます。
受傷直後は仰向けに寝て安静となります。傷みで動けないため尿カテーテル装着の場合もあるようです。その後、受傷部位のコルセットを制作するために型とりがあります。コルセットは受傷部位に過度な負担をかけないために制作されます。キチンと装着していますと骨折が治癒していく課程で、脊椎の湾曲(いわゆるお年寄りの丸い背中)は多少防げるかと思われます。コルセットが出来上がるまでに1週間位かかります。出来上がれば装着して歩行訓練が始まります。そして下肢の筋力を維持しながら脊椎の骨折が修復されるのを待つ事となります。コルセットは脊椎の保護、負担軽減ですから材質としては硬いことが多く、患者様には大変不評です。なぜなら、体幹に装着しますから動くたびに体幹とコルセットに僅かなズレが生じて傷みが発生します。将来的にはもっと改善されるといいなといつも思っていました。
退院ですが、1ヶ月弱位で退院となるようですが、傷みが強い場合や身体機能が低下してしまった場合など帰宅が困難な場合は、リハビリテーション病院や老人保健施設(介護保険対応施設)に転院してリハビリを続けることになります。